値引き、返品、割戻しなどを行った場合の経理処理と消費税

値引き、返品、割戻しなどを行った場合の経理処理と消費税

消費税が課税される商品を販売したあとに、売上値引きをしたり、売上割戻金や販売奨励金を支払ったりすること(売上に係る対価の返還等をすること)がありますが、

このような場合には、その商品を販売した事業者は、売上に係る対価の返還等の金額に対応する消費税額を控除することとなります。

つまり、売上に係る対価の返還等にかかる消費税ぶんの納税額が減るということです。

 

今回は、売上に係る対価の返還等をどのような方法で仕訳すればよいのか等について、見てみましょう。

 

1.売上値引きなどの科目で調整する方法

売上に係る対価の返還等を、売上値引きなどの勘定科目で調整する方法が原則的な方法となります。

<仕訳例>

売上値引 100 / 売掛金 100

 

消費税の計算では、課税標準額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等に係る消費税額を控除することとなります。

 

2.売上から控除する方法

継続して、売上高から、売上に係る対価の返還等の金額を控除していれば、その方法も認められています。

<仕訳例>

売上 100 / 売掛金 100

 

消費税の計算では、課税標準額に対する消費税額が減ることになります。

 

 

対象となる事業者、取引

国内で課税売上(課税資産の譲渡等)を行った事業者で、免税事業者に該当しなければ、売上に係る対価の返還等について、消費税額の控除をすることとなります。

つまり、消費税の課税事業者が対象となります。

取引も、消費税の課税取引が対象となります。(免税取引は対象となりません。)

 

消費税率が8%時代の売上に係る対価の返還等があった場合

消費税率が8%時代の売上に係る対価の返還等がおこることも考えられます。

たとえば、消費税率が8%のときに販売した商品が、10%になったあとに返品された場合です。

このような場合は、最初に売り上げたときの8%の税率をもって消費税額の控除をすることとなります。

 

免税事業者だったときの売上に係る対価の返還等があった場合

免税事業者だったときに売り上げた商品が、消費税の課税事業者になってから返品されることも考えられます。

このような場合には、消費税額の控除はありません。

免税事業者のときに消費税の申告・納付をしていないからです。

 

免税事業者になってから売上に係る対価の返還等があった場合

消費税の課税事業者だったときに売り上げた商品が、免税事業者になってから返品されることも考えられます。

このような場合にも、消費税額の控除はありません。

免税事業者は、消費税の申告・納付がないからです。

 

 

控除の要件

売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額の控除を受けるためには、その返還等をした金額の明細等を記録した帳簿を保存しなければなりません。

上記の、1.2.のどちらの経理方法によっても同じ要件になっています。

 

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令や記載者の経験等をもとに概要を記載したものですので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。