同じ人に異なる種類の報酬を一度に支払う際の二段階税率
同じ人に異なる種類の報酬を一度に支払う際の二段階税率
たとえば、税理士兼社会保険労務士である人や、
税理士兼弁護士である人を自社の顧問としているような場合で、
その人に税理士報酬と社会保険労務士報酬、または税理士報酬と弁護士報酬とをまとめて一度に支払っていたとします。
それぞれの月額報酬は100万円以下であっても、合計すると100万円を超えるようなときがあったときに、
二段階税率の適用はどのように考えればよいのかについて、見てみましょう。
報酬・料金等の源泉徴収税額の計算の方法
「同一人に対して1回で支払われる」報酬・料金等にかかる源泉徴収税額は、
支払金額(源泉徴収の対象となる金額)により、次のようになります。
支払金額(A) | 源泉徴収する税額 |
100万円以下 | A×10.21% |
100万円超 | (A-100万円)×20.42%+102,100円 |
※求めた税額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。
基本的には、このように、報酬・料金については、「同一人に対して1回で支払われる金額」が100万円以下であるか、
または100万円超であるかによって適用する税率が異なることとなっています。
同じ人に異なる種類の報酬を一度に支払うとき
上記のとおり、「同一人に対して1回で支払われる金額」が100万円以下であるか、または100万円超であるかによって適用する税率が異なることとなっていますが、
同じ人に異なる種類の報酬を一度に支払うときの二段階報酬の適用については、その報酬・料金の種類ごとに考えることとなります。
「同一人に対して1回で支払われる金額」は、同一人に対し1回に支払われる「べき」金額で考えるということです。
つまり、
税理士兼社会保険労務士である人や、税理士兼弁護士である人に対する報酬は、
税理士報酬と社会保険労務士報酬を区分して、あるいは、税理士報酬と弁護士報酬を区分して、考えることとなります。
したがって、冒頭の、それぞれの月額報酬は100万円以下であり、合計すると100万円を超えるようなときがあったとしても、
二段階税率の適用は行いません。
もちろん、士業の人が合計すると100万円を超えるような報酬に二段階税率を適用した請求書を発行したりすることはないと思いますが、
たとえば契約書支払となっているような場合には、源泉徴収税額の計算を会社の方で行うことがあるかもしれません。
その際には、たとえ「同一人に対して1回で支払う」ものであったとしても、その報酬・料金の種類ごとに考えて、別々に源泉徴収税額の計算を行うようにしましょう。
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。
※この記事は、作成時点の法令や記載者の経験等をもとに概要を記載したものですので、記載内容に相違が生じる可能性があります。
また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。