申告不要とした上場株の配当所得についての更正の請求
申告不要とした上場株の配当所得についての更正の請求
上場株式等の配当等(一定の大口株主等が受けるものを除きます。)については、総合課税に代えて申告分離課税を選択することができます。
また、上場株式の配当等について特定口座で源泉徴収されていれば、確定申告書に記載しないで申告不要とすることもできます。
この申告不要とできる上場株式の配当等については、
確定申告で総合課税とすることにより配当控除を受けられることから、
適用される所得税率によっては、申告不要とはせずあえて総合課税として有利な選択をされる方もいらっしゃいます。
今回は、いったん申告不要とした上場株の配当所得について、その後になってやっぱり配当控除を受けようとして総合課税とするための更正の請求をすることができるのかどうかについて、見てみましょう。
(※諸々の条件や、住民税の申告不要制度、留意点など、詳細は色々とありますが、この記事では省略しています。)
いったん申告不要とした上場株の配当所得について更正の請求はできない
結論としては、
確定申告をしないこととした(申告不要とした)上場株式等の配当所得については、更正の請求はできないこととなっています。
(ちなみに、1銘柄1回の年間10万円以下の少額配当等についても同様に、更正の請求はできません。)
更正の請求
そもそも更正の請求とは、確定申告等のあとになって、その申告書に記載した税額等の計算に誤りがあった場合などで、
その申告等をしたときの税額等が実際より多かったときに、正しい税額等に訂正するための手続とされています。
つまり、更生の請求は、税法を誤って適用したことや計算ミスがあったことによって多くなっていた税額を正しい(少ない)税額に直すために行うものとなっています。
上場株式の配当等の課税方法を申告不要にするのか、あるいは総合課税とするのかの選択については、
特に税法を誤って適用したことでもないし、計算ミスがあったことでもありません。
どちらも正しい選択となっています。
当初の確定申告において、配当所得について総合課税を選択しなかったということは、配当所得について申告不要を選択したこととなるので、
それはそれで正しい選択をしたこととなっているのです。
したがって、このような場合には、更正の請求は認められないこととなっています。
(決定処分を受けるときにも申告不要とされます。)
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。
※この記事は、作成時点の法令や記載者の経験等をもとに概要を記載したものですので、記載内容に相違が生じる可能性があります。
また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。