従業員の退職金の損金算入

従業員の退職金の損金算入

たとえば、ある会社の年度末である3月末に退職する従業員に対する退職金を、4月になってから支払うような場合に、

その退職金を、その年度に損金に算入できるのかどうかについて、見てみましょう。

 

 

損金算入されるのは「債務が確定」しているもの

償却費以外の販売費及び一般管理費について、その事業年度の損金の額に算入される金額は、

基本的には、その事業年度終了の日までに「債務が確定」しているものに限る、とされています。

 

 

「債務が確定」しているとは

債務が確定しているものとは、別段の定めがあるものを除いて、次の3つの要件のすべてに該当するものとされています。

  1. 事業年度終了の日までに費用に係る債務が成立していること。
  2. 事業年度終了の日までに債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
  3. 事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。

(法人税法基本通達2-2-12)

 

従業員に対する退職金は

冒頭の、年度末に退職する従業員に対して退職金を支給するときに、

たとえば、年度末の3月末日付で退職して、4月に入ってから退職金を支給するようなことも起こると考えられます。

 

このようなときに、その従業員への債務が確定しているかどうかは、

  • その従業員に退職金の支払いをすることが確定しているか
  • ほんとうにその従業員は3月末に会社を退職しているか
  • 退職金規定などによって退職金の金額を計算することができるか

で判断すればよいと考えられます。

 

これで債務が確定していると判断できれば、

その従業員に対する退職金の実際の支払いが年度末の3月末日までに済んでいなくても、

未払金に計上して、その年度の損金の額に算入することができます。

 

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令や記載者の経験等をもとに概要を記載したものですので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。