お客様のお店でモノを買う、サービスを受けるのは交際費か?
お客様のお店でモノを買う、サービスの提供を受けると交際費になるのかどうか
”お客様とのお付き合い”という気持ちもあって、
どうせ同じ商品を購入するならば、お客様のお店から、
どうせ同じサービスを受けるなら、お客様のお店において、
ということも考えることがあろうかと思います。
このように、お客様のお店でモノを買う、あるいは、お客様のお店でサービスの提供を受けると、
それが、すなわち、交際費となるのかどうかについて、ざっくりと見てみましょう
基本的には、交際費にならない
いつもお世話になっているお客様だから、これからもお付き合いを継続するために、との思いで、
お客様のお店からモノを買う、あるいは、
お客様のお店でサービスの提供を受けようとすることが考えられますが、
これらに関する支出については、
”それだけの理由では”、基本的に交際費として必要経費にすることはできません。
交際費として認められないケース
いつもお世話になっているお客様だから、そのお返しとして、という気持ちは、
分からなくもないですが、
たとえば、
次のようなケースは、交際費に計上することはできません。
- 家族の夕飯を作るために、お客様のスーパーで肉と野菜を購入した。
- 髪がのびてきたので、お客様の美容院で月1回の定期的な散髪をした。
- レジャーのために、お客様の旅行会社を通じて、旅行の手配をした。
ほかにも例はたくさん考えられますが、
これらに共通しているのは、いずれも「家事費」である、ということです。
家事関連費であれば、合理的な按分計算により必要経費に算入される部分も考えますが、
家事費については、必要経費(交際費)にすることはできません。
交際費として認められるケース
交際費として認められるケースも考えられます。
たとえば、つぎのようなケースが交際費として考えられます。
- 得意先に贈答するために、お客様のお店でワインを購入した。
- 仕事でパーティーの司会をするため、お客様の美容院で髪をセットした。
- 得意先との親睦旅行のために、お客様の旅行会社を通じて、旅行の手配をした。
注意点しておくべき点はあるものの、
これらに共通しているのは、いずれもが”業務目的”である、
ということです。
目的や内容によっては、
お客様のお店から買うモノ、あるいは、お客様のお店で提供を受けるサービスが、
交際費に計上できるということです。
さらにいえば、べつに、お客様のお店からモノを買ったり、サービスを受けたりしなくても、
どのお店であっても、交際費に計上できるものは、交際費になるということです。
交際費以外の、別の経費になるケース
お客様から購入した商品や、提供を受けたサービスが、
交際費以外の別の経費になるケースがあります。
たとえば、
お客様がパソコンの販売をしていて、
そのお客様のお店から、業務用のパソコンを購入した場合。
・・・・消耗品費(固定資産になる場合もあります。)
お客様が保険代理店をしていて、
そのお客様を通じて、事務所の損害保険に加入した場合。
・・・・保険料
お客様がレンタルスペースを経営していて、
そのお客様のレンタルスペースを借りて打合せ・会議をした場合。
・・・・会議費
こちらをご覧いただければ、
お客様との”お付き合いだからという理由だけ”では、”交際費にはならない”ことが、
お分かりいただけるかと思います。
お付き合いとの思いも含めて購入した業務用パソコンや、事務所の損害保険料は、
交際費にはならないですよね。
必要経費とは
事業所得、不動産所得、雑所得の金額を計算するうえで、
必要経費に算入できる金額は、次の金額となっています。
- 売上に対応する売上原価、その他その売上を得るために”直接”要した費用の額
- 販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
このように、原点にもどって、必要経費とは何なのかを考えてみれば、
分かりやすいのではないでしょうか。
まとめ
お客様のお店からモノを買う、あるいは、お客様のお店でサービスの提供を受けても、
それは決して交際費にはならない、というわけではありません。
必要経費(交際費)としての説明が付けられるのであれば、
それは認められる可能性があるでしょう。
そもそも論で考えてみれば、答えがでてくるのではないでしょうか。
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。
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