個人の駐車場貸しにかかる所得は不動産所得か、事業所得か、そして不動産所得の場合の事業的規模の考え方
不動産所得になるときと、事業所得(または雑所得)になるときの判断
不動産所得とは、不動産、不動産の上に存する権利、船舶(総トン20トン以上)、航空機の貸付や、地上権、永小作権の設定、その他他人に不動産を使用させることによる所得で事業所得・雑所得となるもの以外の所得をいいます。
つまり、不動産所得の定義では、不動産を貸したら不動産所得となるのですが、
例えば、
アパートの貸付であっても、
場所の提供であれば不動産所得ですが、下宿のように食事の提供が含まれたりしていると、事業所得か雑所得になります。
同じように、船舶の貸付でも、
裸用船契約といって船だけ貸し付ければ不動産所得ですが、例えば定期用船契約のように、船員付きで貸し付ければ、事業所得か雑所得になります。
要は、不動産を貸しているけれども、ただ貸しているだけなのか、一連の世話(サービス)まで提供しているのかが、何所得になるかの判断基準になっていると考えてよいでしょう。
駐車場の貸付はどう考えるのか
駐車場も、上記の考え方と同じように考えます。
駐車場の場合には、例えば月極駐車場のように車の管理責任を持たないものなのか、または自己の責任において他人の車を管理する時間貸しなのかによって変わってきます。
つまり、一般的には次のようになります。
車の管理責任を持たない駐車場(月極駐車場)
・・・不動産所得
車の管理責任を持つ時間貸し駐車場
・・・事業所得または雑所得
事業的規模の判断(5棟10室基準)
不動産所得の事業的規模補判断には、5棟10室基準という形式基準があります。
不動産を5棟または10室以上貸し付けていれば事業的規模、それよりも小さな規模で貸し付けていれば事業的規模以外となります。
あくまでも形式基準ですので、絶対ではありません。迷ったら税務署に確認をとることをお勧めします。
駐車場の換算(50台基準)
5棟10室基準を駐車場貸しに当てはめると、1室=5台 で換算することとなっているので、50台以上か否かが形式的な判断基準になると考えて良いでしょう。
事業的規模と事業的規模以外の違い
事業的規模の不動産所得と判断されれば、青色申告特別控除は65万円のものが適用可能になります(複式簿記で作成した貸借対照表の添付要件があります。)が、事業的規模以外と判断されれば青色申告特別控除は10万円のものになってしまいます。
他にも事業的規模のメリットは幾つかありますが、通常では青色申告特別控除65万円が事業的規模の最大のメリットと思っていただいてよいでしょう。
まとめ
- 場所の提供は不動産所得、一連のサービスの提供は事業所得または雑所得となる。
- 駐車場貸しは、形式基準では50台以上で事業的規模となる。
- 事業的規模と事業的規模以外で享受できるメリットに違いが出てくる。
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※この記事は、作成時点の法令や情報、経験をもとに概要を記載したものです。法改正等があった場合には記載内容に相違が生じる可能性があります。
また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署にご相談くださいますようお願い申し上げます。