妻の名義で行っている不動産所得は妻の所得で申告してもいいのか?
所得税では実質所得者に所得が帰属するルールとなっている
「資産から生じる収益の帰属する者が法律上の単なる名義人であって、この者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益はこれを享受する者に帰属する」という所得税のルールがあります。
例えば、
不動産賃貸の契約上の名義人が妻であっても、収益を享受しているのが夫であれば、夫の不動産所得となるということです。
ここで「収益を享受している人」ってなんなのか、もう少しルールがあると分かりやすいですよね。
このルールをもう少し実務上のルールで見てみましょう。
「収益を享受している人」の実務上のルール
「資産から生ずる収益を享受する者がだれであるかは、その収益の基因となる資産の真実の権利者がだれであるかにより判定すべきであるが、それが明らかでない場合には、その資産の名義者が真実の権利者であるものと推定する。」という実務上のルールがあります。
このルールで先ほどの例を見てみると、
契約上では、不動産賃貸の名義人が妻であっても、不動産の所有名義が夫である場合には、その所得の真実の帰属者は夫となるので、夫の不動産所得として確定申告をすることとなります。
結局のところ、夫の所有物である不動産の賃貸を、名義的にも実務的にも妻がいくら頑張って行っていても、妻の不動産所得にはならず夫の不動産所得になるということですね。
ちなみに、
確定申告では、夫の不動産所得で申告を行い、もし仮に妻がこの不動産賃貸事業の実務などを行っているのであれば、
事業的規模の不動産所得の場合には、妻を青色事業専従者として給与の支払いをするか、青色申告者でなければ事業専従者控除の適用を受けることができます。
事業的規模の青色であれば、実態に応じた所得の分散は比較的やりやすいと言えますね。
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。