不動産所得を計算するうえでどのような経費が必要経費に算入されるか具体例
不動産所得を計算するときの必要経費算入
不動産所得は、その年の賃料、礼金、返還不要敷金、更新料などからなる「総収入金額」から、下記に掲げる「必要経費」を控除して計算します。
必要経費に算入できるものは、賃貸不動産にかかる費用で、主なものは次のとおりとなります。
不動産所得の必要経費の具体例 8つ
租税公課
購入の際の不動産取得税のほか、契約に際しての印紙税、毎年納付する固定資産税などの租税公課は必要経費に算入できます。
これに対して、所得税や住民税、税金を滞納したときの延滞税などは必要経費に算入されません。
損害保険料
賃貸不動産にかかる火災保険料などは必要経費に算入できます。
しかし、火災保険が3年とか5年とかの長期保険である場合には、その年分の必要経費となる保険料を期間按分して算出することとなります。
修繕費
賃貸不動産にかかる修繕費は必要経費に算入できます。
修繕積立金も基本的には必要経費に算入されますが、将来返還されるものについては必要経費に算入されません。
なお、修繕ではなく資本的支出(固定資産)と判断されるものについては、減価償却を通じて費用化された部分が必要経費に算入されます。
減価償却費
不動産を取得したときに、その取得費をその取得年の費用に一括して計上するのではなく、基本的には法定耐用年数に従って少しずつ費用化していきます。これを減価償却と言いますが、この減価償却費も必要経費に算入できます。
ただし、土地については、減価償却できない資産(時の経過とともに価値が減少しない資産)とされていますので、減価償却費は計上されません。
借入金の利子
不動産を取得するための借入金の利子は必要経費に算入されます。
新たに不動産事業を開始したときに資金を借り入れてから使用が開始されるまでの期間に発生する利子については、必要経費ではなく、不動産の取得価額に算入されます。
なお、元本返済分は必要経費にはならないのでご注意ください。(元本は回りまわって主として減価償却などで費用化されているのです。)
もしも不動産所得が赤字である場合には、土地の借入金利子をもって赤字にはならないように不動産所得が計算されます。借入金利子でマイナスを出して他の所得との損益通算をさせないようにしているのです。過剰な土地投資を抑制しようとした規定と考えられます。
管理費等
管理費と一口に言っても中身は様々です。
管理会社に清掃や点検、事務などを委託している場合には、その管理費等は不動産所得の必要経費に算入されます。
他にも、入居者募集代行や家賃集金代行業務、トラブル発生時の対応業務など必要経費に算入されるものは色々あると考えられます。
従業員の賃金給料
管理会社に依頼せずに、自ら従業員を雇った場合には、その従業員の賃金給料も不動産所得の必要経費に算入されます。
その他経費
通信費や交通費、研修費、交際費など、不動産を賃貸することのために要した費用は、不動産所得の必要経費に算入されます。
不動産所得の必要経費に算入してはダメなもの
次に掲げるものは、必要経費に算入できません。
自宅に関する費用
私生活にかかる費用は必要経費に算入されません。
家事、私生活に関する費用
私生活にかかる費用は必要経費に算入されません。
不動産の売却費用
不動産所得ではなく、譲渡所得を計算するときの費用となります。
借入金返済の元本部分
上述のとおり必要経費には算入されません。
不動産所得が事業的規模である場合
不動産所得が事業的規模である場合には、事業的規模でない場合と比べて幾つかの所得計算上のメリットがあります。
これについては、別の記事でお話ししていますので、こちらも参考にしてください。↓
不動産所得が事業的規模である場合の所得税計算におけるメリット
不動産所得の総収入金額
不動産所得の総収入金額についてはこちらで触れていますので、こちらも参考にしてください。↓