個人事業者の自家消費の取り扱い
「自家消費」とは
飲食店などを営んでいる個人事業者にとってポイントとなるものに「自家消費」があります。
「自家消費」とは、「お客様に提供するのではなく自分たちで事業用の材料を消費すること」をいいます。
飲食店を事業にしている場合には、お客様に提供する材料を使って自分たちの食事を作ることが多いと思われます。
飲食店ばかりではなく、
自家消費については、自家用にも使える商品を取り扱っているすべての事業者が気を付けなければなりません。
例えば、
美容室であれば、シャンプーやリンスなどを自分の家で使っているとか、
洋服屋であれば、衣服を
靴屋であれば、靴を
酒屋であれば、酒を
自分たちのために消費したら「自家消費」に該当します。
たとえ売れ残った商品であったとしても「自家消費」に変わりありません。
また、販売するための商品ばかりではなく、陳列棚などの備品についても自家消費に気を付けなければなりません。
一方で、
自家消費を気にしなくてもいいのは、サービス業の場合です。
例えば、
マッサージ店が、無料で友だちにマッサージしてあげたとか、
税理士が、無料で税務の相談に乗ってあげたとか、
このように仕入商品ではないサービスの提供は自家消費にはなりません。
では、
お客さんに贈答品としてあげたらどうでしょう。
この場合には、事業消費として取り扱い、交際費などに振り替えることになります。
自家消費分をきちんと収益に計上しましょう
自家消費をした場合には、その自家消費分を収益に計上しなければなりません。
商品などの棚卸資産の自家消費分の収益計上額は、
原則は「通常の販売価額」となっていますが、
「通常の販売価額の70%」または「仕入価額」のいずれか高い方、とすることも認められています。
なお、商品などの棚卸資産でない場合には「通常の販売価額」を収益に計上します。
仕訳
仕訳は、
「事業主貸/売上高」でも良いのですが、
通常の売上高と自家消費とを区分するために
「事業主貸/自家消費」とすると良いでしょう。
所得税の青色申告書の月別の収入を記載するところにも「家事消費等」の欄が設けられています。
まとめ
自家消費を把握しておきましょう。
所得税では「通常の販売価額の70%」または「仕入価額」のいずれか高い方で収益に計上します。
所得税の青色申告書の月別売上金額のところにある「家事消費等」欄に記載します。