店舗併用住宅の地震保険料控除

店舗併用住宅の地震保険料控除

店舗併用住宅のように、1つの地震保険に関する契約のうちに、店舗と住宅のように2つの対象となる資産がある場合には、所得税の所得控除である地震保険料控除をどのように考えればよいか、見てみましょう。

 

居住用資産に係る部分のみが地震保険料の対象

居住用の家屋や資産と、事業用の家屋や商品などを一括して保険等の目的とされている場合のように、1つの地震保険に関する契約が、居住用資産と事業用資産とを保険の対象資産としているような場合には、

その契約に基づいて支払った地震保険料のうち、居住用資産に係る部分のみが所得控除(地震保険料控除)の対象となります。

 

そして、地震保険料のうち事業用資産に係る部分については、事業所得等の必要経費に算入します。

 

居住用資産部分と事業用資産部分とに地震保険料を区分する方法

保険証券等に明確に表示されているときの区分方法

保険証券等に表示されている明確な区分にしたがって、地震保険料を居住用資産に係る部分と事業用資産に係る部分とに区分します。

 

保険証券等に明確に表示されていないときの区分方法

居住用資産と事業用資産ごとの地震保険料の区分が保険証券等に明確に表示されていないときは、

次の<算式>により計算した金額を居住用資産に係る地震保険料の金額として、地震保険料控除を適用することとなります。

 

1.店舗併用住宅に、居住用と事業用との併用部分がない場合

保険金額の比で地震保険料を按分計算します。

<算式>

地震保険料の額 × 居住用部分の保険金額 / 全体の保険金額

 

 

2.店舗併用住宅に、居住用と事業用との併用部分がある場合

<算式>

上記1.の保険料の金額に、併用部分の保険料の金額を加算します。

上記1.で計算した地震保険料の金額 + 併用部分の地震保険料の金額(※)

 

(※)地震保険料の額 × (併用部分の保険金額 / 全体の保険金額 × 「居住割合」)

 

上記算式中の「居住割合」は、家屋全体に占める居住用部分の面積の比とすればよいでしょう。

 

地震保険料の全額を地震保険料控除の対象とする特例

店舗併用住宅のように居住用と事業用とに併用している場合であっても、全体のおおむね90%以上が居住用であるときには、その店舗併用住宅について支払った地震保険料の全額を居住用として地震保険料控除の対象とすることができます。

 

まとめ

  • 地震保険料のうち、居住用部分のみが地震保険料控除の対象となる。
  • 事業用部分は、事業所得等の必要経費に算入する。
  • 居住用部分と事業用部分の按分計算は、それぞれの保険金額の比で行う。
  • 居住用部分が全体の90%以上であれば、全額を地震保険料控除の対象とできる。

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令または経験などをもとに記載したものです。法改正などにより記載内容に相違が生じる可能性があります。

記事中の意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては個別具体的な内容をお近くの税理士にご相談くださいますようお願い申し上げます。