解雇予告手当などを受け取った場合
解雇予告手当などを受け取った場合
労働基準法においては、解雇の予告についての定めがあり、原則として、「使用者は労働者を解雇しようとする場合には、少くとも30日前にその予告をしなければならないこととなっており、30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない」こととなっています。
これは「解雇予告手当」と呼ばれるものですが、この解雇予告手当を支払わない場合には罰則規定が適用されることもあり、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金を課されることもあるとされています。
今回は、この解雇予告手当などを受け取った労働者の退職所得について、見てみましょう。
解雇予告手当は退職所得に該当
労働基準法の解雇の予告の規定により、使用者が30日前までに予告をしないで使用人を解雇する場合に、その使用者から支払われる予告手当は、退職所得とされる退職手当等に該当することとなります。
退職所得の源泉徴収
役員又は使用人に対して退職手当等を支払うときには、その支払者は所得税等を源泉徴収して、原則として、翌月の10日までに納めなければなりません。
なお、退職手当等に対する源泉徴収のしかたは、退職者から「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けている場合と受けていない場合とで異なります。
「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けている場合には、勤続年数などに基づいて源泉徴収税額を計算するのに対して、
「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けていない場合には、退職手当等の支給額に一律20.42%の税率を乗じて計算した所得税等の額を源泉徴収することとなります。
未払賃金立替払制度に基づき国が弁済する未払賃金も退職所得に該当
事業主の倒産等により賃金や退職金が支払われないまま退職した労働者に対し、国がその使用者に代わって未払賃金の一部を弁済するといういわゆる「未払賃金立替払制度」に基づいて、労働者が国から弁済を受けた未払賃金で給与等に係るものの金額は、その事業主から退職した日に支払を受けるべき退職手当等とみなされ、退職所得に該当することとされています。
「未払賃金立替払制度」とは
「未払賃金立替払制度」とは、全国の労働基準監督署および独立行政法人労働者健康安全機構で制度を実施しているもので、企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立替払する制度です。
立替払を受けることができるのは、次の2つの要件を満たしている場合とされています。
1.使用者が、
- 1年以上事業活動を行っていたこと
- 倒産したこと
大きく分けて、法律上の倒産と事実上の倒産があり、法律上の倒産の場合には、破産管財人等による倒産の事実等の証明が、
事実上の倒産(中小企業について、事業活動が停止し、再開する見込みがなく、賃金支払能力がない)の場合には、労働基準監督署長の認定が、必要となっています。
2.労働者が、
法律上の倒産の場合、倒産について裁判所への申立て等が行われた日
または、
事実上の倒産の場合、労働基準監督署への認定申請が行われた日の
6か月前の日から2年の間に退職した者であること
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※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したもので、記載内容に相違が生じる可能性があります。
また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。