受け取った請求書額から必ずしも源泉徴収税額が差し引かれているわけではない
受け取った請求書に源泉徴収税額が差し引かれていない場合
本来ならば源泉徴収をして支払わなければならないものが、源泉徴収しないまま支払ってしまうケースがあります。
例えば、受け取った請求書には源泉税額の記載がないケースが考えられるのですが、このような場合にはどのようにすればよいのでしょうか?
支払う側の責任で源泉徴収すべきものは源泉徴収しなければならない
答えは、請求書では源泉徴収の記載がされていなくても、源泉徴収義務者(法人や一定の個人事業主)は、源泉徴収すべきものは支払う際に源泉徴収して支払わなければなりません。
仮に、源泉徴収しないでそのまま支払うと、後日調査などで判明した際には、源泉徴収をしないで支払ってしまった側の責任で源泉税額(プラス、場合によっては不納付加算税や延滞税)を納付する必要が生じます。
源泉徴収されないまま処理されるよくある原因
大きな組織になってくると、源泉徴収に詳しい経理担当者あてに必ずしも請求書が送付されてくるわけではないし、
むしろ、購買部門や、なかには発注をかけた営業マンのところに直接請求書が送られてくることが、実際のところは多いのではないでしょうか。
各部門において、請求書に基づいて検収システムに情報入力され、経理部門へは必要なデータが接続されるのですが、請求書の束は別にまとめられたりして、請求書1件ごとに精査されないことが多いと思います。
更に大きな会社組織になると、請求書の束も経理に送付すらされず、別の部署で保管されることが多いのでではないでしょうか。
このようにして、本来なら源泉徴収してから支払いをすべきものが源泉徴収されずに、知らず知らずのうちにそのままの請求金額で支払いがされてしまうことが起こりえるのです。
どのような請求に源泉徴収漏れが発生しやすいか
請求書の発行者が士業の方である場合には、請求書の発行の際に、相手先に応じて源泉徴収するかしないかの判断ができるのが通常ですので、まず間違いはないと思ってよいでしょう。
問題は、請求書の発行者が源泉徴収についての認識が薄い場合です。
例えば、原稿料や一定のデザイン料、講演料、翻訳、通訳などの料金を請求する個人事業者の発行した請求書については、料金を支払う際に確認を行うなどの注意が必要と考えられます。
源泉徴収漏れを防ぐ努力をしましょう
これを防ぐには、いくつかの方法があると考えられます。
会社組織であれば、営業マン個人個人の自主的な勉強や気づきを待つのではなく、
組織を活用した通知や勉強会などでの周知のほか、
組織内の人間関係での日常会話が重要になってくると思われます。
筆者も会社経理の仕事をしていたときには、休憩室でのたわいもない会話から営業マンや設備部隊の取引内容が見えてきて、経理的な問題点を発見することが数多くありました。
個人事業者にあっては、ご自身でも気を付けることのほか、身近に相談できる専門家を頼りにするのがよいと思われます。
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