個人事業者が事業用と家事用の共用資産を取得した場合の取得価額の考え方
個人事業者が事業用と家事用の共用資産を取得した場合
例えば、青色申告の承認を受けている個人事業者が、事業供用割合が50%である35万円の固定資産を取得して使用を開始したときに、
事業部分の50%の金額は17.5万円であるから、
30万円未満の「少額減価償却資産の特例」を適用して、17.5万円の全額をその年の必要経費に算入することができるのではないか、
または、
20万円未満の「一括償却資産」として、17.5万円を3年間の均等償却で経費にしたらいいのか、
と一瞬考えてしまったことはないでしょうか。
このようなときは、どうしたらよいかを見てみましょう。
取得価額は、事業供用割合を乗じる「前」の金額
購入した固定資産の取得価額は、
「購入対価(引取運賃などを含む)の額と、事業の用に供するために直接要した費用の額の合計額」と規定されています。
ということは、冒頭の例でいえば、事業供用割合を乗じる前の35万円が取得価額になります。
35万円ですと、30万円未満の少額減価償却資産の特例の適用はなく、一括償却資産として3年間で均等償却することもできません。
必要経費に算入する金額は、減価償却費×事業供用割合
取得価額に事業供用割合を乗じるのではなく、
減価償却費に事業供用割合を乗じるのが本来の計算となります。
家事用部分の減価償却費は「事業主貸勘定」で処理すればよいでしょう。
事業供用割合は状況に応じて変化する場合も
使用開始時の状況で事業供用割合を50%と認識していても、その後に状況が変ればそれに応じて事業供用割合も変わることがあります。
このときには、取得価額35万円で計算した減価償却費に乗じる事業供用割合を変更すればよいでしょう。
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