新幹線で通勤する従業員に対する通勤手当の非課税規定
新幹線で通勤する従業員に対する通勤手当は非課税
所得税法では、会社が従業員に対して支給する通勤手当は非課税として取り扱うこととしています。
したがって、通勤手当は所得税等の源泉徴収の対象にはならないのですが、
非課税の通勤手当は、通勤するのに必要な交通機関の利用などのために支出する費用に充てるものとして、給与にプラスして支給するもので、「通常必要であると認められる部分」に限られています。
そして、「通常必要であると認められる部分」というのは、その従業員の通勤にかかる運賃、時間、距離などの事情に照らして「最も経済的かつ合理的」と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃等の額とされています。
これには、新幹線を利用した場合の運賃等の額も含まれており、
金額ベースでは、1か月あたり15万円までとなっています。
都市圏の拡大や交通網の発達、相互乗り入れの拡大などによって、職場と自宅との距離が遠くても通えることが多くなりましたが、それでも在来線だと片道2時間を超えるような状況も考えられます。
在来線の運行状況の遅れよっては仕事への悪影響も考えられるので、新幹線を利用することが「最も経済的かつ合理的」と判断されるのならば、それも非課税の通勤手当として認めるということなのでしょう。
通勤で新幹線のグリーン車を利用すると、
結論的には、グリーン車の利用料金は非課税扱いにはなりません。
日々の通勤にグリーン車を利用することが、「最も経済的かつ合理的」とは認められないということです。
税務的に考えればそういうことなのです。
実際に新幹線で通勤するとなると、
例として、
新大阪〜岡山
を見てみましょう。
在来線だと、およそ2時間40分
日々の通勤に片道でこれだけの時間をかかると、確かに仕事どころではありません。
これに対して、
新幹線だと、およそ45分
このくらいなら通勤としてはあまり苦ではないですね。座席も確保できるでしょうし。
山陽新幹線の1ヶ月定期券代は、新大阪〜岡山だと、現在133,860円なので、
15万円の非課税限度額の条件はクリアしています。
新幹線の駅まで行く在来線の乗車時間や乗り換えの時間も含めて考えるとプラスアルファでもう少し料金も時間もかかるでしょうけど、新幹線の利用が「最も経済的かつ合理的」という判断は妥当だと思います。
通勤手当の非課税限度額が平成28年度改正で上限10万円から15万円に拡大されたのですが、この改正により、単身赴任ではなく新幹線通勤を選択する人がどれだけ増えたかは分かりません。
家庭の事情などがある場合は別として、通えるからといって果たして新幹線通勤を選択するかどうかは、私の場合(グリーン車OKなら悩みますが、距離的な移動の疲れも含めると)、また別物ですね。
(参考記事 ↓)
非課税とされる出張旅費や日当、グリーン車は「通常必要と認められる範囲内のもの」か
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。
※この記事は、作成時点の法令または経験などをもとに記載したものです。法改正などにより記載内容に相違が生じる可能性があります。
記事中の意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては個別具体的な内容をお近くの税理士にご相談くださいますようお願い申し上げます。