個人事業者の「家事関連費」どのように按分すればよいか

個人事業者の「家事関連費」

個人事業者(フリーランス)の方は、自宅とは別のところに事務所を借りたりすることをせずに、自宅の一室(プラス応接室など)を業務用の事務所として使っている方も少なからずいらっしゃることと思います。

所得税の計算においては、電気代や水道代、電話代、車の費用などのように、自宅(家事)用でもあり、かつ事務所(業務)用でもある支出を「家事関連費」としており、家事関連費のうち経費として取り扱うことができる部分についてルールが定められています。

 

個人事業者の「家事関連費」は、業務に必要部分を明確にすればよい

一応、法令のうえでは、

個人事業者が白色申告者である場合には、

家事関連費の「主たる部分」が業務の遂行上必要であり、かつその業務に必要である部分を明確に区分できる場合には、その区分した部分の金額を必要経費として取り扱うことができることとされています。

この場合の、「主たる部分」の判断は50%超であるとされています。

また、個人事業者が青色申告者である場合には、

取引記録に基づいて、業務上直接必要であった部分を明確に区分できる場合には、その区分した部分の金額を必要経費として取り扱うことができます。

ここでは50%の基準はなく、明確に区分できれば問題ないとされています。

 

しかしながら、実務上は、

白色申告者も青色申告者も50%基準の適用はなく、ただ必要部分を明確に区分すれば、それでよいこととなっています。

それだけに、家事関連費のうち一部を必要経費に算入する際には、ちゃんと説明がつくような考え方や根拠が必要となってきます。

 

家事関連費の例

次のような費用が個人事業者の家事関連費として頻繁にでてきます。

  • 借家の場合の家賃
  • 持ち家の場合の減価償却費、火災保険料、固定資産税など
  • 水道光熱費
  • 電話、インターネットなどの通信費
  • 車の費用(例えば、ガソリン代、駐車場代、車検費用、修理費、自動車税、自動車保険料、洗車代など)

など

 

家事関連費から業務上必要な部分を明確に区分する方法(参考例)

借家の家賃、持ち家の減価償却費など

全ての部屋の面積のうちに占める、事務所として使用する部分の割合(共有部分もこの割合で按分します。)を使った「面積按分」が合理的といえます。

小数点の単位まで按分する必要はなく、5%や10%の単位で区切って計算した単位でもよいと考えます。

 

水道光熱費

水道光熱費は、「使用頻度」や「使用量」で按分することが合理的であるといえます。

ただ、一言で水道光熱費と言っても、

水道代、電気代、ガス代など、その内容は分かれています。

例えば、水道代であれば、仕事中の洗面や、トイレの使用、お客様との打合せなどの際のコーヒーやお茶の提供、その食器洗いなどがあります。お風呂やシャワーなどは、必要な場合もあるかもしれませんが一般的にはあまり考えられませんので、その使用部分を控除するなどして必要部分を明確にすればよいでしょう。

電気代は、仕事スペースや応接ルームの冷暖房、照明、パソコン電源など、昼夜問わず一日中使うことが多いものです。

ガス代は、何かの製作に火を使う場合のほか、お客様へのお茶やコーヒーの提供や、その食器洗い、仕事スペースのガス暖房などがあります。

按分割合を求める際には、仮に事務所が自宅兼事務所ではなくて別の場所に事務所を借りていたとしても業務上必要なものとして使用するであろうものを考えれば、必要部分を明確に区分しやすいと思います。

 

電話、インターネットなどの通信費

通話時間や通信時間のうちに、業務で使用する「通信時間」で按分することが合理的といえます。

毎月毎月通話時間や通信速度を計ったりする必要はなく、数か月の平均とか、従来からの平均など、常識的な感覚で一度採用した割合は、その後に大きな変化がない限り継続して良いでしょう。

 

車の費用(例えば、ガソリン代、駐車場代、車検費用、修理費、自動車税、自動車保険料、洗車代など)

車の費用は、「走行距離割合」や「使用頻度割合」が合理的であるといえます。

総走行距離のうちに占める業務使用の割合や、1週間のうちに何回家事で使うか業務で使うかなどを参考にすると良いでしょう。

ただし、車の費用といっても高速代については利用明細が入手できることが多いので、割合で按分するよりは実額で計上する方がより合理的になると考えられます。

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。