立退料を受け取った時の所得税の所得区分

立退料を受け取った時の所得税の所得区分

個人事業者が賃貸している事務所や、個人が住居として借りている家屋などの明け渡しを求められて立退料を受け取ったときには、その受け取った立退料は、所得税において各種所得の収入金額になります。

立退料の受け取りには幾つかの場面が想定されますので、そのそれぞれについて見てみましょう。

 

立ち退きに伴う休業期間中の収入や、事務所の引っ越し費用の補填のための立退料を受け取った場合

個人事業者の事務所等の転移等に伴い事業を営むことができない期間の収入を補填するためや、事務所の引っ越し費用を補填するための立退料を受け取った場合ですが、

このような立退料は、収入金額または必要経費の補填としての性格がある立退料となります。

このような性格がある立退料は、その個人事業者の事業所得等の収入金額となります。

 

家屋を明け渡したことによって消滅する権利の対価に相当する立退料を受け取った場合

家屋を明け渡したことによって消滅する権利の対価に相当する立退料を受け取った場合ですが、

このような立退料は資産の消滅の対価補償(借家権の譲渡対価)としての性格のある立退料となることがあります。

このような立退料は譲渡対価としての性格があると認められるものとして、譲渡所得の収入金額となります。

 

上記以外の性格を有する立退料を受け取った場合

上記の事業所得等や譲渡所得の収入金額にならないような立退料を受け取った場合や、立退料の中に事業所得等や譲渡所得の収入金額に該当しない金額が含まれている場合には、その立退料や、その含まれている部分については、一時所得の収入金額となります。

たとえば、和解金などがこれに該当すると考えられます。

 

まとめ

個人が受け取る立退料は、どのような性質の立退料なのかによって、次のように所得区分が異なります。

  • 収入や必要経費の補填・・・・事業所得等
  • 消滅する権利の対価・・・・譲渡所得
  • 上記以外・・・・一時所得

 

立退料と一口に言ってもその性質によって所得税の所得区分が分かれているので参考にしてください。

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したもので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。