個人に対して国や地方公共団体から助成金が支給された場合の所得税の取扱い

個人に対して国や地方公共団体から助成金が支給された場合の取扱い

新型コロナウイルス感染症に関して、国税庁より税制上の措置がいくつか公表されていますが、

その中の一つ、「個人に対して国や地方公共団体から助成金が支給された場合の取扱い(4月13日追加)」

(国税庁HP:国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ)について、

その内容をここにも記しておきます。

 

国や地方公共団体からの助成金についての所得税の課税関係

新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、国や地方公共団体から個人に対して助成金が支給されることがありますが、こうした助成金は所得税の課税対象となりますか?

 

国や地方公共団体からの助成金については、個別の助成金の事実関係によって、次のとおり課税関係が異なります。

非課税となるもの

次のような助成金(助成金には、商品券などの金銭以外の経済的利益を含みます。以下同じです。)は、非課税となります。

① 助成金の支給の根拠となる法令等の規定により、非課税所得とされるもの

② その助成金が次に該当するなどして、所得税法の規定により、非課税所得とされるもの

・ 学資として支給される金品(所得税法9条1項十五号)

・ 心身又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金(所得税法9 条1項十七号)

 

課税となるもの

上記の非課税所得とならない助成金については、次のいずれかの所得として所得税の課税対象になります。

① 事業所得等に区分されるもの

例えば、事業者の収入が減少したことに対する補償や支払賃金などの必要経費に算入すべき支出の補填を目的として支給するものなど、業務上の取引に関連して支給される助成金

(注) 支払賃金などの必要経費を補填するものは、その支出そのものが必要経費になり、また、収入減少などにより所得金額が生じないときには実質的に課税対象になりません。

 

② 一時所得に区分されるもの

例えば、臨時的に一定の所得水準以下の方に対して支給するなど、業務上の取引に関連しないもので、一時に支給される助成金

(注) 一時所得については、所得金額の計算上、50万円の特別控除が適用されることから、他の一時所得とされる金額との合計額が50万円を超えない限り、課税対象になりません。

 

③ 雑所得に区分されるもの

上記①・②に該当しない助成金
なお、一般的な給与所得者については、給与所得以外の所得が20万円以下である場合には、確定申告不要とされています。

 

 

(参考)国等から支給される主な助成金等の課税関係(例示) 

(★)今般のコロナウイルス感染症の影響に関連して創設等された助成金等

非課税

【支給の根拠となる法律が非課税の根拠となるもの】

・雇用保険の失業等給付(雇用保険法 12 条)

・生活保護の保護金品(生活保護法 57 条)

・児童(扶養)手当(児童手当法 16 条、児童扶養手当法 25 条)

・被災者生活再建支援金(被災者生活再建支援法 21 条)

【租税特別措置法が非課税の根拠となるもの】

・簡素な給付措置(臨時福祉給付金)(租税特別措置法 41 条の8 1項一号)

・子育て世帯臨時特例給付金(租税特別措置法 41 条の8 1項二号)

・年金生活者等支援臨時福祉給付金(租税特別措置法 41 条の8 1項三号)

【所得税法が非課税の根拠となるもの】

・東京都認証保育所の保育料助成金(所得税法9条1項十五号)

・企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例措置における割引券(所得税 法9条1項十七号)(★)

 

課税

【事業所得等に区分されるもの】

・小学校休業等対応助成金(★)

・小学校休業等対応支援金(★)

・雇用調整助成金(★)

・肉用牛肥育経営安定特別対策事業による補てん金

【一時所得に区分されるもの】

・すまい給付金

・地域振興券

【雑所得に区分されるもの】

・企業主導型ベビーシッター利用者支援事業における割引券

ここに記載がない助成金等の課税関係については、その助成金等の支給元である国や地方公共団体の窓口にご確認下さい。