生命保険の満期を迎えたが、返戻金を据え置きとした場合の課税
生命保険が満期を迎えたけど返戻金を据え置きとした場合の課税
一部の保険商品は、保障だけではなく、節税や貯蓄の機能も兼ね備えています。
自分の老後資金として、または自分への贅沢なご褒美のための資金として、自らを契約者(保険料負担者)とし、満期になったら自ら満期返戻金を受け取るようにして、保険契約に加入しているかたもいらっしゃると思います。
保険料については、毎月自らの手で保険会社に振り込み手続きをすることはなく、一般的には、銀行口座からの自動引落としているか、カード決済としているか、あるいは会社にお勤めの方であれば給与から自動的に引き去られていることが多いと思われます。
そのようなことから、貯蓄性の高い生命保険契約をしていても、満期になるのを毎月毎月カウントダウンすることなく、ある日突然に満期を迎えた感じがすることが多いのではないでしょうか。
そして、満期返戻金については、多額となることが多く、かつ緊急の出費に備えたものではないため、保険契約が満期になってもすぐに自分の口座への払い出しをしてもらわず、また年金で受け取るようなこともなく、いったん据え置きにする選択をすることもあると思います。
それでは、このように満期返戻金を据え置きとしたときに見落としがちな所得税の課税関係について、見てみましょう。
「支払いを受けるべき事実が生じた日」が課税関係が生じる時期となる
上記のように、自らを保険契約者(保険料負担者)とし、自らを満期返戻金(一時金)の受取人としている保険契約の場合には、その満期返戻金の額を一時所得の総収入金額に算入することとなります。
そして、所得税法基本通達の規定により、
一時所得の総収入金額の収入すべき時期は、基本的にはその支払を受けた日によるものとされていますが、
その支払を受けるべき金額がその日前に支払者から通知されているものについては、その通知を受けた日により、
また、生命保険契約等に基づく一時金、または損害保険契約等に基づく満期返戻金等のようなものについては、その支払を受けるべき事実が生じた日によるとされています。
したがって、冒頭のように、満期返戻金をすぐに自分の口座への払い出しをしてもらわずに、仮にいったん据え置きにしたとしても、すでにその支払いを受けるべき事実が生じていることとなっているので、その満期返戻金の額は一時所得の総収入金額に算入しなければならないこととなっているのです。
一時所得の金額の計算方法
一時所得の金額の計算方法は、次のとおりです。
<計算式>
一時所得の金額 =
一時所得の総収入金額 -(マイナス)その収入を得るために支出した金額 -(マイナス)一時所得の特別控除額(最高50万円)
満期返戻金が生じた場合には、
「満期返戻金の額」が、「一時所得の総収入金額」となり、
「払込保険料の総額」が、「その収入を得るために支出した金額」となります。
なお、一時所得には最高50万円の特別控除額があるので、
一時所得の総収入金額 - その収入を得るために支出した金額 が、50万円以下である場合には、一時所得は課税されません。
一時所得の金額は、総合課税により課税することとなっている金額は一時所得の金額の2分の1となっているものの、
超過累進税率により課税されるので、
他に金額の大きな所得がある場合には、高い税率により所得税が課税され、思わぬ出費となってしまうことがありますので心得ておきましょう。
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※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したもので、記載内容に相違が生じる可能性があります。
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