設備と予備品を一括購入した場合の減価償却
設備と予備品を一括購入した場合の減価償却
たとえば、工場に設置する製造設備とその予備品を一括購入した場合に、製造設備と同様に、
予備品についても一括して減価償却できるのかどうかについて、見てみましょう。
原則として予備品は減価償却の対象外
予備品は製造設備の一部として実際に製造に使用されるまでは費用化(損金算入または必要経費算入)することはできません。
未使用の状態であれば事業の用に供しているとはいえないので、たとえ製造設備と一括して購入した予備品であったとしても、減価償却することはできないこととなります。
なお、その予備品が使用されたときには、資本的支出に該当するのか修繕費に該当するのかの判断をおこなったうえで、減価償却費または修繕費などにより費用化(損金算入または必要経費算入)することとなります。
貯蔵品は棚卸の対象
予備品は製造設備の部品の摩耗や減耗等により設備本体の稼働に支障が出ることを防ぐために、その代用品としてストックしておくものです。
本来ならば部品の取り換えのタイミングでその部品をすぐに調達できればわざわざ予備品としてストックしておく必要はないのですが、
たとえば海外から調達した設備などで部品の取り換え時に迅速な調達が困難であるものとか、発注してから納品されるまで一定の日数が必要になる部品については、なかなかそうもいきませんので、あらかじめ予備品としてストックしておくことが多いと思われます。
税務には直接関係しませんが、そのような予備品については、同じようなスペックのもので国産化できるものは徐々に国産品にシフトしておくのも一つの管理方法であると思われます。
いずれにしても、予備品は実際に使用されるまでは費用化(損金または必要経費に算入)することはできませんので、決算期末や年度末において正確に棚卸をおこない、貯蔵品として計上しておくことが求められます。
減価償却できる予備品がある
これまで述べてきたとおり、予備品は実際に部品の取り替えを行うなどして使用するまでは費用化(損金算入または必要経費算入)することはできないのですが、一部の予備品については、本体の設備と一体のものとして減価償却をすることができるものがあります。
そのような減価償却することができる予備品として有名なものに、航空機の予備エンジンがあります。
これは設備本体を事業の用に供するために必要不可欠なものとして常備され、通常は他に転用することができず、繰り返して使用されるような部品であり、
常備することをもって使用ととらえているのです。
航空機の予備エンジンのほかにも、たとえば電気自動車の予備バッテリーや、AGV(無人搬送車)の予備バッテリーなどのように、設備本体を事業の用に供するために必要不可欠なものとして常備され、通常は他に転用することができず、繰り返して使用されるような部品であれば、本体の設備と一体のものとして減価償却をすることができると考えてよいでしょう。
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