建物の塗装費用について

建物の塗装費用について

事務所や倉庫などの建物を購入して長期間使用していると、一定の期間ごとに修理や塗装をすることが必要になってきます。

 

たとえば、経年劣化により天井や壁に元々施してあった塗装がはがれてきて防水性が低下したり、ひび割れが生じてきたりすることがありますし、

また、そのような劣化が生じていなくても、汚れがついたり、色落ちしたり、水垢がついたりしたことにより、見た目をもとに戻すための処置が必要になってくることもあるでしょう。

あるいは、災害などのトラブルが発生したことにより急遽補修が必要になることがあるかもしれません。

 

こういったことに対応するために建物の塗装をした場合に、その塗装費用が資本的支出になるのか、または修繕費として処理することが可能なのかについて、見てみましょう。

 

建物の塗装費用は全額修繕費扱いが可能

結論から言えば、建物の塗装費用は、基本的にはその全額を修繕費とすることが可能です。

 

もちろん上記に示したように、経年劣化により塗装がはがれてきたり、ひび割れが生じてきたことによる防水性、耐久性の低下への対応であること、汚れが目立ってきたり、色落ちしたり、水垢が目立ってきたことへの対応であること、また災害などによる損傷への対応とする塗装費用ですが、その全額を修繕費に計上することが可能となっています。

 

資本的支出か修繕費の区分等の基準として基本通達が示されておりますが、このような建物の塗装費用については明らかに修繕費であると考えてよいでしょう。

 

建物の塗装が資本的支出になる場合も

基本的には建物の塗装費用が全額修繕費扱いになるとはいっても、建物の維持や修理を目的とする塗装ではなく、従来の塗装とは異なる装飾を施したり、物理的な付加を加えたり、高性能の塗装に切り替えたりするなど、明らかに建物の価値を増加させたりするような塗装である場合には、そのことによる価値の増加部分については資本的支出になる場合があると考えられます。

 

資本的支出として取り扱う金額の計算

仮に建物の塗装費用が資本的支出に該当するに至った場合であっても、その全額を資本的支出として取り扱う必要はないケースが多いと思われます。

価値の増加や使用可能年数の延長部分をどのようにとらえるかですが、高性能な塗装の場合の資本的支出として取り扱う部分の金額の計算の一例としては、

資本的支出の金額 = 今回の高性能の塗装に変更した場合の塗装費用 - 従来と同様の塗装の場合の塗装費用

とすることが可能と考えます。

実際の塗装が高性能の塗装であった場合にその実額は請求書等により把握できますが、従来と同様の塗装の場合の塗装費用については見積書を入手したり、

あるいは、双方の単価を調べることが可能ならその単価差から資本的支出部分となる金額を求めるなど、合理的な方法で資本的支出となる部分の金額を計算すればよいでしょう。

 

他から購入等した際の塗装費用は購入費

基本的には建物の塗装費用が修繕費になるといっても、自己の使用のために他から購入した建物について支出した金額については、その支出は修繕費としては取り扱わず、固定資産の購入費等(取得価額)として取り扱います。

 

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したもので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。