所得者および扶養親族がそれぞれ複数いる場合の扶養親族の所属は、どのようにすればよいか
所得者および扶養親族がそれぞれ複数いる場合の扶養親族の所属
たとえば共働きの家庭のように、所得者が2人以上いるような場合で、かつ、扶養親族となる子などが複数いるときには、
扶養親族を各所得者に振り分けるようなかたちで本人たちの自由に取り扱うことができるのかどうかについて、見てみましょう。
どの所得者の扶養親族としても差し支えない
結論としては、共働きの家庭のように、同じ世帯に所得者が2人以上いる場合には、同一人をそれぞれの所得者の扶養親族として重複して申告しない限り、どの所得者の扶養親族として申告しても差し支えありません。
仮に、共働き夫婦家庭(夫A、妻B、子C、子D)であれば、
夫Aが子Cを扶養親族として、妻Bが子Dを扶養親族として、それぞれ申告することが可能となっています。
扶養控除の申告は、会社員であれば、夫Aの勤務する会社に夫Aが子Cを扶養親族とする旨を、妻Bの勤務する会社に妻Bが子Dを扶養親族とする旨を記載した「給与所得者の扶養控除等申告書」をそれぞれ提出すれば認められます。
どのように扶養親族を振り分けると有利になるのか
一般的には、所得の多い所得者(税率の高い所得者)のほうの扶養親族とする方が有利と考えられています。
しかし、扶養親族が年少扶養親族(16歳未満の扶養親族)である場合には、所得税においては扶養親族にしたところで税額計算上のメリットはありません。
年少扶養親族が税額に影響してくる可能性があるのは、住民税の非課税枠の計算においてです。
住民税の非課税枠の計算
1.住民税の均等割も所得割も課税されない人
前年の合計所得金額(繰越控除前の金額)が次の<算式>で求めた額以下の人であれば、住民税の均等割も所得割も課税されない人(非課税)となります。
<算式>
32万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の人数)+18万9千円※
※18万9千円の加算額は、同一生計配偶者または扶養親族を有する場合のみ。
(滋賀県草津市の場合)
2.住民税の所得割が課税されない人
また、前年の総所得金額等(繰越控除後の金額)の合計額が次の<算式>で求めた額以下の人であれば、住民税の所得割が課税されない人(非課税)となります。
<算式>
35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の人数)+32万円※
※32万円の加算額は、同一生計配偶者または扶養親族を有する場合のみ。
(滋賀県草津市の場合)
夫婦どちらか一方に扶養親族をまとめて上記の算式で計算した結果その人の住民税が非課税となるのであれば、たとえ所得税では影響がない扶養親族であっても、住民税においてはどちらの扶養親族にした方が有利になるかを考慮する価値があるといえます。
なお、自治体によっては、住民税額シミュレーションをホームページ上で公開しているところもあるので、それを活用するなどして自分たちであらかじめ計算して確認しておくと良いと思います。
以上のように、年少扶養親族は所得税の計算には影響を与えることはないのですが、住民税の非課税枠の計算に影響を与えることがあるので、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を記載する際には気を使うようにしましょう。
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。
※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したもので、記載内容に相違が生じる可能性があります。
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