他社の勤務期間も含めて退職所得控除額を計算する場合
他社の勤務期間も含めて退職所得控除額を計算すること
たとえば、他社で勤務していた者Aを当社に社員として迎え入れることとなった。
前の勤務先である他社では、諸般の事情があって、Aに退職手当等が支給されていなかった。
Aは当社に入社後、社員として一定期間勤務し、このたび、当社を退職することとなった。
当社では、Aに退職手当等を支給する際に、前の勤務先である他社での勤続期間も含めて勤続年数(および退職所得控除額)を計算しようと考えているが、
そもそも、他社での勤続期間も含めて勤続年数を計算することが可能かどうかについて、見てみましょう。
基本的には、退職金の支払者での勤務期間で勤続年数を計算
退職手当等(退職手当等とみなされるものを除く。)については、退職手当等の支払を受ける居住者が退職手当等の支払者のもとにおいて、その退職手当等の支払の基因となった退職の日まで引き続き勤務した期間により勤続年数を計算することとされています。
他の者の下において勤務した期間を含めて計算するときは、その期間を加算できる
退職所得者が退職手当等の支払者の下において勤務しなかった期間に、他の者のもとにおいて勤務したことがある場合においては、
その支払者がその退職手当等の支払金額の計算の基礎とする期間のうちに当該他の者のもとにおいて勤務した期間を含めて計算するときには、当該他の者のもとにおいて勤務した期間を勤続期間に加算した期間によって勤続年数を計算することとされています。(所令69①ロ)
つまり、
つまり、冒頭のたとえで言えば、
他社から当社に迎え入れたAが当社を退職する際に受ける退職手当等に関しては、前の勤務先である他社での勤務期間も含めて勤続年数(退職所得控除額)を計算することができることとされています。
退職金規定等に明記されていることが要件
他社での勤務期間も含めて勤続年数(退職所得控除額)を計算するためには、
当社の退職金規定において、他社で勤務した期間と通算して退職手当等を支給する旨が明記されていなければなりません。
仮に、他社から当社に社員を迎え入れるにあたって、前の勤務先である他社との間で勤続期間を通算するような取り決めが個別に契約されていたとしても、
退職金規定においてその旨が明記されていなければ、他社での勤務期間を含めて勤続年数(退職所得控除額)を計算することは認められないことに注意が必要となります。
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