顧客の紹介や、情報提供の対価として支払う紹介料等
顧客の紹介や、情報提供の対価として支払う紹介料等
法人が、顧客を紹介してもらったことや、顧客に関する情報提供をしてもらったことに対するお礼に、「紹介料等」として費用を支出することがあります。
勘定科目としては、「外注費」とか、「販売手数料」といったものを使用することが多いと思われます。
しかし、この紹介料等は、いくつかの点に気をつけておかないと、税務上の交際費に認定され、思わぬ課税をされてしまう可能性もあります。
今回は、この紹介料等のような費用の支出が、そのまま税務上の損金として認められるのか、それとも、税務上の交際費と認定されてしまうのかについて、見てみましょう。
損金として認められる紹介料等の3つの要件
法人が、取引に関する情報の提供、取引の媒介、代理、あっせん等の役務の提供を受け、その対価として、その情報提供等を行なった相手方に対して金品(紹介料等)を支払うことがあります。
この紹介料等が、交際費に認定されず、損金として認められるためには、次の3つの要件を満たしていることが必要です。
1. その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること
その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであることが必要です。
契約には口頭契約というものもありますが、口頭契約だと税務調査等においてその存在を証明することが困難になることが予想されますので、やはり、はじめから書面で契約しておくことが望ましいです。
また、たとえ契約書がなくても、ポスターや新聞広告などをしたことにより、その存在が明らかであるような場合には、そのポスターや新聞広告などを残しておくとよいでしょう。
2. 提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていること
提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていることが必要です。
役務の内容に具体性がなくあいまいであったり、実際に役務の提供を受けたかどうかもあいまいであったりすると、税務上の交際費に認定されてしまうことも考えられます。
役務の内容と、その提供を受けたことを、契約においても、また記録においても、明らかにしておくことが望まれます。
3. その交付した金品の価額がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること
その交付した金品の価額がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められることが必要です。
相当と認められる金品の額は、たとえば、紹介等があったことにより取引が成立しその結果としてその法人にどの程度の利益をもたらすことができたのかも参考になるでしょう。
受けた利益の金額とか、獲得シェアとか、同業者の相場とかを参考にして、あまりにも高額であったりまたは少額であったりすると、相当とは認められない可能性があるので、一定の計算根拠を残しておくことが望まれます。
紹介や情報提供を業としている者に対する紹介料等
法人が、紹介等を商売にしているようなコンサルタントや仲介業者など、取引に関する情報の提供または取引の媒介、代理、あっせん等の役務の提供を行うことを業としている者に対して紹介等の対価として金品を支払った場合には、上記のような要件は必要ないものと考えます。
必要がないというよりもむしろ、そもそも紹介等を商売にしているようなコンサルタントや仲介業者などであれば、紹介等に関して上記の3つの要件を満たしているのが通常だからです。
その取引に係る相手方の従業員等に対する紹介料等
紹介料等を支払う相手が、その取引に係る相手方の従業員等であるような場合には、その紹介料等の金品については、税務上の損金となる紹介料等とはなりません。
たとえば、A社の購買部門に勤務する者Bが、自身の勤務先であるA社を紹介して購買取引を成立させたとしましょう。
そして法人が、そのB個人に対して、A社を紹介してもらったことに係る紹介料等として金品を支払ったとしても、
それは損金に算入される費用には該当しないということです。
その支払った金品は、取引の対価というものではなく、「謝礼」という取り扱いとなり、税務上交際費として取り扱われます。
Bは単にA社で購買業務を遂行したにすぎないということです。
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。
※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したもので、記載内容に相違が生じる可能性があります。
また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。