リバースチャージ方式の申告対象外の課税期間は、特定課税仕入れの仕入税額控除はできない
リバースチャージ方式の申告対象外の課税期間には、特定課税仕入れの仕入税額控除はできない
事業者が国内において行った課税仕入れのうち、国外事業者から受けた「事業者向け電気通信利用役務の提供」(特定課税仕入れ)については、
その役務の提供を受けた国内事業者が、その「事業者向け電気通信利用役務の提供」に係る支払対価の額を課税標準として、消費税の申告と納税を行うこととなります。(リバースチャージ方式)
この場合には、「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた課税仕入れ(特定課税仕入れ)については、他の課税仕入れと同様に、役務の提供を受けた事業者において仕入税額控除の対象となっています。
一方で、現時点では、すべての事業者が、事業者が国内において行った課税仕入れのうち、国外事業者から受けた「事業者向け電気通信利用役務の提供」について、リバースチャージ方式による申告を行う必要があるわけではありません。
申告の必要がない事業者(課税期間)もあります。
今回は、その申告の必要のない事業者については、国外事業者から受けた「事業者向け電気通信利用役務の提供」に関して仕入税額控除ができないということについて、見てみましょう。
リバースチャージ方式による消費税の申告を行う必要がない事業者
国外事業者から「事業者向け電気通信利用役務の提供」(特定課税仕入れ)を受けた場合に、リバースチャージ方式により消費税の申告を行う必要があるのは、一般課税により申告する事業者で、かつ、その課税期間における課税売上割合が 95%未満の事業者に限られています。
ということは、事業者が国外事業者から「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合であっても、
次の課税期間(または期間)については、リバースチャージ方式による申告を行う必要がないということです。
- 免税事業者である期間
- 簡易課税制度が適用される課税期間
- 一般課税であっても課税売上割合が95%以上の課税期間
これらの課税期間については、いまのところ、「事業者向け電気通信利用役務の提供」はなかったものとされています。
リバースチャージ方式での申告対象外の課税期間は、特定課税仕入れについて仕入税額控除はできない
上記のとおり、当分の間は、
消費税の課税事業者であったとしても、
- 一般課税で、かつ、課税売上割合が 95%以上の課税期間や
- 簡易課税制度が適用される課税期間
については、「事業者向け電気通信利用役務の提供」はなかったものとされています。
リバースチャージ方式による消費税の申告が必要ないこととされています。
ここで注意すべき点は、仕入税額控除となります。
「事業者向け電気通信利用役務の提供」について、リバースチャージ方式による申告を行う必要がないのであれば、それと同時に、その仕入税額控除も行うことができません。
つまり、
申告するなら、その仕入税額控除ができる。
申告の必要がないなら、その仕入税額控除ができない。
一般課税の事業者は、課税売上割合の計算を行うタイミングに、以上の点に気を付けるようにしましょう。
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※この記事は、作成時点の法令や記載者の経験等をもとに概要を記載したものですので、記載内容に相違が生じる可能性があります。
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