領収書をもらわない車代の損金算入

領収書をもらわない車代の支払いについて

会社が、新製品の発表会や展示会などへの出展に際して得意先を招待することがありますが、

その招待が、会場の最寄り駅などで得意先が一斉に集合してもらえるなどの目途がついていれば、

会社側で、最寄駅から会場までのバスをチャーターすることが多いと思われます。

 

しかし、特に都市部ではない電車やバスなどの交通の便の整っていない場所が会場となっており、

そのうえ、来場時間がバラバラであったり、駐車場が狭い場所であったりすると、

必然的にタクシーにて個別に移動してもらうこと多くなると思われます。

 

このようなケースでは、会社側で、あらかじめ得意先別に現金を入れた封筒を準備しておき、会場にお越しいただいた得意先に対して、車代として手渡すことが考えられますが、

この車代について得意先から領収書をもらうことなく手渡しした場合に、

果たしてこの交通費が費用として損金に算入することができるのかどうかについて、見てみましょう。

 

 

車代が社会通念上常識の範囲内かどうか

新製品の発表会や展示会などへの車代について、領収書を発行してもらうのは社会習慣上なかなか難しいことかもしれません。

このように、やむを得ないと考えられる場合であれば、その車代については、仮に領収書がなくても損金として取り扱うことができます。

 

ただし、その際の注意点としては、会場までの交通費の実費としてふさわしい金額であり、社会通念上常識の範囲内の金額であることです。

 

 

証拠書類を残しておくこと

さらに、領収書に代わるような証拠書類を残しておくことも必要となります。

 

たとえば、自社の発表会や展示会などへの招待客の名簿を作成しておくこととし、

領収書を発行してもらう代わりに、受付の際に来場者のサインをその名簿にしてもらうこと、

あるいは、招待客の名刺を受付で頂戴しておくことなどが考えられます。

 

いずれにしても、何らかの方法で使途が不明とならないように証拠を残しておくことが大切となってきます。

 

 

交際費に該当するかどうか

冒頭の例では、会社の新製品の発表会や展示会などに得意先を招待したということであり、そのために通常必要とされる範囲内であれば、

販売のために直接要する費用(販売促進費など)となり、交際費には該当しないことになります。

 

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令や記載者の経験等をもとに概要を記載したものですので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。