年の途中からでも青色事業専従者にできる場合
年の途中からでも青色事業専従者にできる
たとえば、個人事業を営んでいる人(青色申告者)の奥さんがこれまで外に働きにでていたけれど、
だんだんとその事業が軌道に乗って忙しくなってきたので、
その奥さんが年の途中で外の仕事を退職して、個人事業に専属して働くことになったような場合に、
年の途中からでもその奥さんを青色事業専従者として扱って、奥さんへの給与を個人事業の必要経費に算入してもよいのかどうかについて、見てみましょう。
年の途中からでも必要経費に算入できる
本来、青色事業専従者に支払う給与を必要経費にするにあたっては、
・その年を通じて6か月を超える期間その青色申告者の営む事業に専ら従事していることなどや、
・その年の3月15日までに届出書を税務署に提出するなどの
一定の要件があるのですが、「相当の理由」がある場合には、年の途中からでも青色事業専従者に支払う給与を必要経費に算入することができます。
青色事業専従者に該当するかどうかの判定にあたって、事業に従事する者が「相当の理由」により事業主と生計を一にする親族としてその事業に従事することができなかった期間がある場合には、
従事可能期間の2分の1を超える期間専ら事業に従事していれば足りるものとされています。
この「相当の理由」には就職や退職も含むとされています。
冒頭のように、外に仕事にでている奥さんが退職したときから年末までを従事可能期間として、その2分の1を超える期間、専ら事業に従事している場合には、
その間に支払った給与は青色事業専従者給与として必要経費に算入されます。
なお、この場合、その奥さんを青色事業専従者とした日から2か月以内に、「青色事業専従者に関する届出書」を所轄の税務署に提出する必要があります。
青色事業専従者給与の要件
青色事業専従者給与とは、本来ならば、そのひとの奥さんなど同一生計の親族に支払う給与については、
同じどんぶり勘定の中でのお金のやり取りであるという理由から、もともと経費とすることが認められていないところを、
一定の要件のもとで、経費とすることが認められている給与のことをいいます。
青色事業専従者給与として認められる要件は、次のとおりです。
「青色事業専従者」であること
青色事業専従者とは、次のいずれの要件にもあてはまる人をいいます。
- 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
- その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
- その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。
「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出
「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出していることが必要です。
この届出書は、青色事業専従者に支払う給与の額を経費に算入しようとする年の3月15日まで、(その年の1月16日以後に新たに事業を開始した場合や、新たに専従者がいることとなった場合には、その日から2か月以内)に提出しなければなりません。
届出書に記載のとおり給与を支払うこと
届出書には、青色事業専従者の氏名、職務の内容、給与の金額、支給期などを記載することになっていますが、
実際に、届出書に記載されている方法によって給与が支払われなければなりません。
なおかつ、その届出書に記載されている金額の範囲内でなければなりません。
対価が相当であること
青色事業専従者給与の額は、労務の対価として相当であると認められる金額であることが必要です。
見知らぬ人に支払う給与とは違って、親族に支払う給与となると、条件がつい甘くなりがちですが、
労務の対価として相当であると認められる金額でなければなりません。
過大とされる部分は、必要経費とは認められないことになります。
「相当の理由」として考えられること
本来ならば、青色事業専従者は、その年を通じて6月を超える期間、その青色申告者の営む事業に専ら従事していることが必要ですが、
「相当の理由」によりその事業に従事することができなかった期間がある場合には、
従事可能期間の2分の1を超える期間、専ら事業に従事していれば足りるものとされています。
なお、「相当の理由」には、たとえば、次のような理由があると考えられます。
- 年の中途における開業
- 年の中途における廃業、休業、死亡
- 事業の内容が季節営業であることにより、もともと年中営まれていないこと
- 長期間の病気、入院があったこと
- 年の途中で婚姻したこと
- 年の途中まで学生であったこと
- 就職や退職があったこと
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