賃貸借契約の際に礼金の受け渡しがあったときの所得税での取り扱い
礼金を受け取った個人事業者の取り扱い
不動産所得の金額は、その年の不動産賃貸等に係る総収入金額から、必要経費を控除して計算されます。
不動産賃貸では、家賃や共益費、駐車場利用料などのほかに、契約に際して、将来返還することのない「礼金」を受け取ることもあり、この礼金は不動産所得の総収入金額に算入することになります。
礼金ではなくても、頭金や名義書換料などのように一時に収受するものは同じように不動産所得の総収入金額に算入します。
なお、総収入金額に算入する日は、不動産の引き渡しをするものについては引き渡しを行った日、引き渡しをしないものについては契約の効力発生日に総収入金額に算入します。
礼金を支払った個人事業者の取り扱い
上記に対して、事業者が礼金を支払った場合には、その礼金の金額が幾らかにより取り扱いが異なります。
礼金が20万円未満の場合
賃貸借契約に際して礼金を支払った場合には、その支払った礼金の全額を一時の費用として経費処理することができます。
そして、勘定科目については、一般的には「地代家賃」などで記帳します。(福利厚生施設の場合には「福利厚生費」などの勘定科目で処理することもあります。)
礼金が20万円以上の場合
賃貸借契約に際して支払った礼金が20万円以上である場合には、その金額を一時の費用として経費処理することができません。
繰延資産として資産に計上して、「5年間」または「賃貸期間が5年未満である場合にはその期間」で償却して必要経費に算入することになります。
その際の勘定科目については、「長期前払費用」などで処理します。