事業用の商品、材料、製品などを自分で消費(家事消費)したときの注意点
商品などを自分で消費(家事消費)したときの注意点
家事消費した分の売上計上
仕入れた商品や材料、製品などを、自分自身や家族の食卓、まかないなどのために家事消費した場合には、その家事消費した分を収益に計上することが必要となります。
これは、販売している商品などを、例えば実家に贈ったりした場合も同様です。
商品、原材料、仕掛品、半製品、製品などの棚卸資産が対象となり、将来販売することが可能なものが対象となります。(備品などの家事消費は後述します。)
ですから、散髪、マッサージ、スピーチ、コンサルなどの役務を提供するようなものについてはこのような家事消費の問題は生じません。モノを消費したときに問題が生じると思っておいてください。
家事消費したときに計上する金額
家事消費したときに収益に計上しなければならない金額は、原則はその時の販売価額(時価)ですが、次のようにすることも認められており、その金額は所得税と消費税で異なります。
所得税の売上げ
所得税においては、次のいずれか高いほうの金額で計上しなければなりません。
- 通常の販売価額(時価)の70%
- 仕入価額
(例)商品である食材を自分たちで食べた。
- 販売価額 3,000円 × 70% = 2,100円
- 仕入価額 1,050円
この場合、高い方の2,100円で収益に計上することになります。
消費税の課税売上
一方で、消費税においては、次のいずれか高いほうの金額で計上しなければなりません。
- 通常の販売価額(時価)の50%
- 仕入価額
(例)商品である食材を自分たちで食べた。
- 販売価額 3,000円 × 50% = 1,500円
- 仕入価額 1,050円
この場合、高い方の1,500円で課税売上げに計上することになります。
家事消費したときの勘定科目
勘定科目は「家事消費等」を使用することをおすすめします。
「売上高」などの勘定科目を使用しても構いません。
要は、収益に計上していることが大切なのです。
仕訳をする際の相手勘定科目は、その家事消費の目的によって使い分けします。
(例)自分たちで消費した場合や、友人や実家などにあげた場合 … 「事業主貸」
(例)取引先に贈答した場合 … 「接待交際費」
仕訳の具体例
先の例を活用して、実際の仕訳を作成してみましょう。
(例)売価 3,000円、仕入れ値 1,050円である食材を自分たちで食べた。
所得税では、
- 販売価額 3,000円 × 70% = 2,100円
- 仕入価額 1,050円
いずれか高い金額 ・・・ 2,100円
消費税では、
- 販売価額 3,000円 × 50% = 1,500円
- 仕入価額 1,050円
いずれか高い金額 ・・・ 1,500円
所得税と消費税をまとめると、
収益に計上しなければいけないのは、2,100円
そのうち、消費税の課税売上としなければいけないのは、1,500円
これをまとめると次のようになります。
消費税の課税売上とならない部分については、不課税売上(消費税の課税対象外)となります。
消費税の課税事業者については、課税区分について気にしなければならないところですね。
棚卸資産以外の資産の場合
棚卸資産以外の備品などの事業用資産の家事消費の場合にも、勘定科目は同じようになります。
ただし、通常の販売価額(時価)で収益を計上しなければなりません。
商品ラックを住居で使用するようになった場合などには注意が必要です。
日常のふとした時に家事消費したような場合でも、うっかり忘れてしまわないように仕訳しておきましょう。
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。