個人事業者が経費支払いのときによく使う勘定科目と注意点
勘定科目は、数を少なめに、継続して使用しましょう
個人事業者が帳簿をつけはじめるときに、勘定科目をどのように設定したらよいのでしょうか。
個人事業者が確定申告のときに税務署に提出する「所得税青色申告決算書」には、個人事業者が一般的によく使用すると想定される経費の勘定科目があらかじめ印刷されています。
全ての勘定科目の枠にあらかじめ印刷されて埋められているわけではなく、空欄になっている箇所もあります。
空欄になっているところには、事業者で新規に勘定科目をつくっても良いとされていますが、多くの勘定科目を作ってその数を増やしすぎてしまうと、用紙に書ききれなくなったり(結局は勘定科目を集約することになったり)、また日常の記帳自体も煩雑になってしまいます。
従って、
- 勘定科目の数はあまり増やしすぎず、極力少なくなるように心がけて、数を絞ることをおすすめします。
- そして、月ごとや年ごとの推移をチェックするためにも、いったん使うと決めた勘定科目は、途中から闇雲に増やしたり廃止したりしないように、継続して使用することをおすすめします。
「所得税青色申告決算書」の経費の科目
青色決算申告書には複数の種類があり、小売業や卸売業からサービス業など様々な業種の事業者に幅広く使用される「一般用」のほか、「農業所得用」、「不動産所得用」、「現金主義用」があります。
それぞれに違いがあり特徴があるのですが、ここでは、「一般用」にあらかじめ印刷されている経費の科目を掲げておきます。
- 租税公課
- 荷造運賃
- 水道光熱費
- 旅費交通費
- 通信費
- 広告宣伝費
- 接待交際費
- 損害保険料
- 修繕費
- 消耗品費
- 減価償却費
- 福利厚生費
- 給料賃金
- 外注工賃
- 利子割引料
- 地代家賃
- 貸倒金
- (空白欄・・・・・・)
- 雑費
数は多く感じるかもしれませんが、これらの科目の名称を見て、内容が分かりにくいというものはそれほどないと思われます。
想像のつく範囲で判断して、勘定科目の使い分けをして概ね間違いはありません。
しかし、
名称のみで機械的に判断してしまうと、本当は経費にならないのに経費にしてしまいがちなものがあります。
注意のいる勘定科目がありますので、次にそれを見てみましょう。
経費計上の際に注意のいる勘定科目があります
「租税公課」
租税公課、いわゆる税金ですが、
事業用資金から支出したときに、経費にできる税金のときには「租税公課」で、経費にできない税金のときには「事業主貸」で記帳を行います。
経費にできる税金
- 個人事業税
- 自動車税(事業用の部分)
- 固定資産税、都市計画税(事業用の部分)
- 印紙税
- 消費税(税込み経理の場合)
など
これらは「租税公課」の欄に記載するようにしましょう。
経費にできない税金
上記に対して、
プライベートにかかる税金や、罰則的な意味合いのある税金は経費にできません。
- 所得税
- 住民税
- 相続税
- 贈与税
- 延滞税
- 過少申告加算税
- 過怠税
などは、経費とすることができません。
あと、交通反則金などの罰金なども経費にはできません。
「保険料(損害保険料)」
事務所、工場、店舗や、取扱商品、事業用の車両などを対象にした損害保険料を「損害保険料」で記帳します。
いっぽう、プライベートな保険(社会保険、プライベートな生命保険、自宅の火災保険など)は経費として取り扱われません。(経費として取り扱いされませんが、所得控除という形で税金の計算上考慮されます。)
経費にできる保険料
事業のために加入した保険で、基本的に掛け捨てとなる部分が経費となります。
- 火災保険料(事業用建物等の部分)
- 自動車保険料(営業用車両などの事業用部分)
- 損害保険料(商品や備品にかかる部分)
など
経費にできない保険料
プライベートな保険は経費として取り扱われません。
経費として取り扱いされませんが、一定のものは所得控除(社会保険料控除、生命保険料控除)という形で税金の計算をする上で考慮されます。
- 社会保険料(国民健康保険料、国民年金保険料、介護保険料)
- プライベートな生命保険料
- 火災保険料(自宅部分)
など
まとめ
- 経費の勘定科目の数は少なめに、継続して、使用しましょう。
- 税金や保険料のうち、経費にできないものに注意しましょう。
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。