相続により取得した建物を賃貸したときの不動産所得における減価償却費の計上

相続により取得した建物などの固定資産に中古資産の耐用年数は適用できない

相続により取得した事業用の固定資産はほとんどの場合は中古の資産に該当すると考えられます。

中古資産を取得した場合には「中古資産の耐用年数」を適用して通常よりも短期間で償却を進めることができる規定があるのですが、

相続により取得した賃貸建物などの事業用の固定資産については、中古は中古であっても、中古資産の耐用年数(見積法や簡便法)により減価償却することはできません。

 

(中古資産の耐用年数についてはこちら ↓)

中古資産の耐用年数の計算方法

 

相続により取得した固定資産については、被相続人から取得価額、耐用年数、経過年数、未償却残高をそのまま引き継いで減価償却費の計算をすることとなります。

 

相続により取得した建物の償却方法

相続により取得した固定資産について、減価償却の方法はどうなるのかを見てみましょう。

 

そもそも減価償却の方法には、定率法や定額法、生産高比例法などがあります。

同じ定率法でも、取得時期によって旧定率法や(新)定率法があり、(新)定率法もさらに250%定率法や200%定率法に分かれています。

定額法もしかり、定率法と同じように、旧定額法と(新)定額法に分かれています。

旧と新の境目は、平成19年3月31日以前であるか、平成19年4月1日以後であるかとなっています。

 

話を相続により取得した固定資産の減価償却方法に戻しますが、

例えば、

相続により取得した賃貸アパートの減価償却について、

被相続人は生前、旧定率法により賃貸アパートを減価償却していたとします。

そして、この賃貸アパートを相続によって令和元年に取得したとします。

すると、相続人の建物の償却方法は、令和元年取得の建物ということになり、定額法となるのです。

被相続人が取得した際に選定できていた旧定率法は現在は選定することができず、建物の償却方法は定額法となってしまうのです。

 

つまり、相続により取得した固定資産は相続開始日を取得日として償却方法を判断することになるのです。

まとめ

相続により取得した固定資産に中古資産の耐用年数は適用できない。

 

相続により取得した資産の、

  • 取得価額
  • 耐用年数
  • 経過年数
  • 未償却残高

は引き継ぐ。

 

  • 取得年月日
  • 償却方法

は引き継がない。

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したものです。法改正等があった場合には記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては個別具体的な内容をお近くの専門家にご相談くださいますようお願い申し上げます。