個人事業者である夫の経費を妻が支出した場合に、それを夫の必要経費に算入してよいのか

個人事業者である夫の経費を妻が支払った場合に、それを夫の必要経費に算入してよいのかどうか

よくありそうなのが、夫婦のどちらか一方の所有する不動産(敷地や家屋)を、夫婦のもう一方が活用して個人事業の用に供している場合や、

他にも、携帯電話やインターネット回線などの通信サービスを家族まとめて契約しており、個人事業主である本人が直接支払っていない場合などもあると思います。

 

このように、本人が直接が支払っておらず、生活を共にしている家族などが支払った経費を、本人の行っている個人事業の必要経費に算入しても良いのかどうかという疑問が出てくるときがあると思います。

 

結論から申し上げると、

本人が直接支払っていなくて、同一生計親族が支払った経費も必要経費として取り扱うことになるのです。

(もっとも、その支出の内容からして経費性があると認められるものに限りますが。)

 

必要経費にするものと、してはいけないもの

冒頭の例でみてみましょう。

<例1>

例えば、夫が、同一生計親族である妻の所有する不動産を利用して個人事業を行っている場合です。

 

・夫が不動産の賃借料を妻に支払って、その賃借料を夫の必要経費に算入すること  ×(必要経費にしてはいけません。)

逆の立場から見て、妻が夫から受け取った賃貸料を不動産所得の収入金額(売上高)に算入することもありません。

 

・妻が支払う固定資産税や不動産を維持するために支払う修繕費などの費用を、夫の個人事業の経費扱いとすること ○(必要経費になります。)

 

<例2>

妻が、同一生計親族である家族全員分の携帯電話やインターネット回線のサービス利用料を一括して支払っている場合です。

 

・妻が支払った回線のサービス利用料のうち、夫が個人事業用として使用している部分を合理的に算出して必要経費に算入すること ○(必要経費になります。)

 

個人事業者が、財布が同じである同一生計親族を利用して恣意的に所得を分散させることのないようにして、同一生計親族を一まとまりの同じ財布としてみているのです。

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

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