不動産所得の赤字は給与所得と損益通算できる

不動産所得の赤字は給与所得と損益通算できる

副業の解禁や、解禁前でも会社員しながらでもできる仕事として、また遠方へ転勤になり家族ごと引っ越ししたことにより元の住まいを貸し出すことになったことなど、色々な事情によって不動産の貸付を始める方もいらっしゃるのではないでしょうか。

最初から利益が出ればよいのですが、不動産貸付を始めたばかりの頃は、初期の必要経費がかかったり、借り手がいない空室の期間があったりするなどして、不動産所得が赤字になることもあると思われます。

そんな場合の赤字は、給与所得など他の所得と相殺することができるのです。

これを「損益通算」といいます。

 

不動産所得の赤字を確定申告すれば、給与所得と損益通算されて給与で源泉された所得税が戻ってくる

不動産所得が赤字だった場合には、その赤字部分の金額を給与所得など他の所得から差し引くことができます。

たとえば、不動産所得の赤字が100万円だった場合には、給与所得から100万円を差し引くことができるのです。

 

会社では、毎月の給与から源泉徴収され、年末調整においては年間分の所得税の確定作業に入るのですが、

そこで確定していた給与にかかる所得税を、確定申告することにより取り戻すことができるのです。

 

不動産所得の赤字が100万円なら、損益通算により給与所得が100万円少なくなり、その部分に対応する所得税(超過累進税率で計算)が還付されます。

ちなみに、所得税だけではなくて、住民税(一律10%)も軽減されます。

 

白色申告でも大丈夫

確定申告には、複式簿記で記帳を行うなど一定の基準を満たした「青色申告」や、そうではない「白色申告」とかの種類がありますが、不動産所得の赤字の損益通算は、青色でも白色でも同じように行うことができます。

 

赤字であっても、認められない赤字がある

赤字でも還付されるなど救済措置の多い不動産所得に見えますが、一定の制限があります。

どんな場合でも損益通算されるわけではありません。

 

たとえば、不動産所得が赤字であっても、次のような赤字は損益通算することはできません。

  • 別荘等のように、趣味・娯楽・保養・鑑賞等の目的で保有する不動産の貸付の赤字
  • 不動産所得を生ずべき事業を行う民法組合等の特定組合員(個人組合員のうち、組合事業に係る重要な業務の執行の決定に関与し、かつ、契約を締結するための交渉等を自ら執行する組合員以外のもの)または信託の受益者である個人が、組合事業または信託から生じた不動産所得の赤字
  • 不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分の金額からなる赤字

 

まとめ

不動産所得の赤字は、給与所得から差し引くことができる。(損益通算)

不動産所得は白色申告でも損益通算できる。

たとえ不動産所得の赤字であっても、損益通算が認められない赤字がある。

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。