翌年度に固定資産の値引きを受けたときの取得価額の減額
前期に取得した固定資産について値引きを受けたとき
会社が前期に取得した固定資産について、たとえばその固定資産に不具合が見つかったことなどにより、当期になって値引き等を受けたときに、
その値引き等の額を当期の益金の額に算入するのか、それとも取得価額を修正することができるのかについて、見てみましょう。
固定資産の取得価額から減額することが可能
会社の有する固定資産について値引き等があった場合には、
その値引き等のあった事業年度においてその値引き額を益金の額に算入すべきと考えられますが、
確定した決算においてすでに償却が行われていることを考慮して、
下記の計算式により計算した金額の範囲内でその固定資産の帳簿価額を減額することにより、その残額(値引き等により取得価額を修正する部分に対応する減価償却費)のみを益金の額に算入するということができます。
計算式
次の算式で計算した金額の範囲内でその固定資産の帳簿価額を減額することが認められています。
<計算式>
値引き等の金額 × (値引き等直前のその固定資産の帳簿価額 ÷ 値引き等直前のその固定資産の取得価額)
計算例
仮に、
前期に取得した固定資産の取得価額:
200万円
前期の減価償却費(償却限度額内):
40万円
当期に値引き等を受けた金額:
60万円
とすると、
以上により、当期において減額することができるその固定資産の帳簿価額は、
60万円 × (200万円 - 40万円)/200万円
= 48万円
と計算することができます。
仕訳例
(借方) | (金額) | (貸方) | (金額) |
現金預金 | 60万円 | 固定資産 | 48万円 |
修正益(益金) | 12万円 |
補足として
取得価額を減額することは、その後の償却費が減少することになります。
したがって、上記のようにその固定資産の帳簿価額を減額した場合も、または、仮にその値引き等のあった事業年度においてその値引き額の全額を益金の額に算入した場合も、
全期間を通してみれば、結局のところ期間損益の問題として落ち着くようになっています。
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。
※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したもので、記載内容に相違が生じる可能性があります。
また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。