デザインの報酬にかかる源泉徴収

デザインの報酬にかかる源泉徴収

個人(フリーランス)に支払う原稿等の報酬または料金については、その支払いの際に、基本的に源泉徴収をしなければならないこととなっているのですが、

この「原稿等」の「等」中には、実に様々なものが含まれています。

今回は、その中の一つのデザイン料について、見てみたいと思います。

 

 

デザインの範囲

デザインには、通達において、次のようなものがあると示されています。

  1. 工業デザイン(自動車、オートバイ、テレビジョン受像機、工作機械、カメラ、家具等のデザイン及び織物に関するデザイン)
  2. クラフトデザイン(茶わん、灰皿、テーブルマットのようないわゆる雑貨のデザイン)
  3. グラフィックデザイン(広告、ポスター、包装紙等のデザイン)
  4. パッケージデザイン(化粧品、薬品、食料品等の容器のデザイン)
  5. 広告デザイン(ネオンサイン、イルミネーション、広告塔等のデザイン)
  6. インテリアデザイン(航空機、列車、船舶の客室等の内部装飾、その他の室内装飾)
  7. ディスプレイ(ショウウインドー、陳列棚、商品展示会場等の展示装飾)
  8. 服飾デザイン(衣服、装身具等のデザイン)
  9. ゴルフ場、庭園、遊園地等のデザイン

 

 

 

源泉徴収税率は

原稿等(デザイン料)の料金を支払うときには、料金の支払者は次のとおり、支払の際に源泉徴収を行います。

源泉徴収の義務は料金の支払者にありますが、デザイナーとしては、請求書に源泉税額を示しておくことが求められるでしょう。

 

支払金額(=A) 税額
100万円以下のとき A×10.21%
100万円を超えるとき (A-100万円)×20.42%+102,100円

※求めた税額に1円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。

 

 

上記の算式により、

たとえば料金の請求額が10万円なら、10,210円の源泉徴収をしたうえで、残額の89,790円をデザイナーに支払うこととなります。

そして、源泉徴収税額10,210円は、料金の支払者が国に納めます。

(ここでは、消費税の取り扱いは考慮していません。)

 

デザインとその施工の対価を一括して支払う場合

ネオンサイン、広告塔、ショーウインドー、陳列棚、商品展示会場または庭園などのデザインと、その施工とを併せて請け負った者に、その対価を一括して支払うような場合には、

その対価の総額を、デザインの報酬または料金と、施工の対価とに区分し、デザインの報酬または料金について源泉徴収を行うべきとされていますが、

そのデザインの報酬または料金の部分が「極めて少額」であると認められるときは、源泉徴収をしなくて差し支えないとされています。

 

ひとりごと

デザインの報酬または料金の部分が「極めて少額」であるときの、極めて少額の額が具体的にいくらなのか解説でも見つけられません。

別の取り扱いに、源泉徴収しなくても差し支えのない同一人に対して1回に支払うべき「投稿写真などの報酬など一定の報酬」の金額が「少額」のものの例として、

「おおむね5万円以下」とされているものがあるのですが、

この「おおむね5万円以下」基準は、あくまでも「少額」扱いとなっています。

「極めて少額」扱いであるなら、おおむね5万円以下よりも、さらに少額でしょうかね。

一式表示とかになっていたら明確にならないことも考えられますね。

ひとりごとですが。

 

 

源泉徴収が必要ない場合

デザイナーとしては、請求書を発行するときには、通常その相手方が源泉徴収義務者かどうかを確認してから請求書発行してあげればよいでしょう。

デザイナーの相手方が法人である場合や従業員のいる個人(源泉徴収義務のある個人)の場合には、源泉徴収をしてもらうように請求書を発行することとなりますが、

相手方が従業員のいない個人(源泉徴収義務のない個人)なら、源泉徴収をしてもらう必要はありません。

(デザイナーのほうではなく、相手方のほうで源泉徴収の判断してあげなければならないときもあります。)

 

個人事業者が報酬等の支払いなどの際に源泉徴収しなくてもよい場合

↑こちらも参考にしていただければと思います。

 

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令や記載者の経験等をもとに概要を記載したものですので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。